新緑ノスタルジア

生きていくのがVERY楽しい

ミュージカル「新テニスの王子様 The Second Stage」感想

※大楽の配信しか見てないオタクなので抜け、漏れ多数あると思いますご容赦ください

※うっすら原作のW杯準決勝ドイツ戦までのネタバレを含みます

 

オープニング

冒頭が越前家から始まったので、「リョーガからリョーマへの想い」へ強く注目する意味合いなのか?とも思ったが割とその辺は原作通りだった。新テニは群像劇だけどあくまで主人公はリョーマということの確認なのかもしれない。

「チェンジ!チェンジ!チェンジ!」で始まるオープニングテーマを聴くと続投組(特に3rdからの平松來馬君)のパフォーマンスの安定感が増していることに気付く。高橋怜也くんはこんなフェイクまで歌えるようになってるのか!と驚いた。

コーチの歌で「目もいい 頭もいい 顔も体もエクセレント イケメンでごめんね」とか言われて出た!!久々のトンチキ歌詞だ!!って謎の感動が来た。最初に来るのが視力の良さなんだ……。

持って生まれた才能とたゆまぬ努力、両方揃って初めて「Genius」になる、これがテニプリ世界のルールなんですよね。才能に関しては多かれ少なかれ皆何かしら持っているという描き方をしているので、そこからどのように努力するかに比重が寄ってる感じはありますが。

やっぱり一軍下位戦もダイジェストでもいいからやってほしかった……ミュの世界でもあの子たちが生きてることを知りたかった……。

ROUND1 跡部・仁王VS毛利・越知

ここから何度か出てくる南次郎の「漫画じゃあるまいし」という台詞。かなり判断に迷うしTwitterでも賛否両論だった記憶があるけどいまだにどういう意図でこの台詞入れたのか掴みきれてない……まあこういうメタなことを言うとしたら中学生・高校生を一歩引いたところから見ている南次郎かコーチしかいないというのは、まあ、わかる……。でも貴方も「漫画じゃあるまいし」って言われるようなテニスしてたじゃないですか……って言いたくもなる……。

サーブ音が普通の音だけではなく越知のマッハサーブ、仁王が手塚にイリュージョンして打ったサーブとバリエーション豊富なのもこの試合のイメージを強めていたと思う。

どこかで見かけた「原則客席に近い方が有利で、実力が拮抗しているときはネット自体が回って演者も動き回る」を今更ながら頭に入れたので今まで以上に楽しく見れた。

跡部「いつまでも醜態晒してられっかよ!!」こういう姿勢ってともすれば焦りからの自滅になりかねないんだろうけど、そうならないのは彼に「俺は跡部だ 俺はキングだ」っていう一本芯の通った矜持があるからだろうと思う。りょやべは前回の新テニミュにも出ていたので「高橋怜也くんが演じる跡部景吾」が跡部VS入江戦で得たものも考えるシーンだった。

仁王の中で手塚像が無印のVS不二の時以上に固まっていることを感じる。手塚ってもうテニスの世界では偶像なんですよね。仁王だけじゃなくて不二、跡部、真田などなど手塚を強く意識するキャラは沢山いるけれど、それぞれが自分の中に虚像としての手塚を抱えていると思う。

「手塚の心」はそれがよく表れていたと思う。「痛みがなんだ 俺は我慢した」ってまるで手塚が我慢していたかのような言い方だけど、多分あの時の手塚って「我慢しなければ」という気持ちで動いてるわけではないと思うんだよな。青学を勝たせるためにはそれが当然のことだと思って行動してる感じ。イリュージョンした手塚≠本来の手塚国光ってところは、仁王のイリュージョンは相手の心理を読み取る観察力+感情の想像力がベースなのが出てるんだろう。あと仁王はそんなにメンタルが屈強な方ではないので、自分を鼓舞する気持ちもあった気がする。

そして満身創痍になる跡部を庇って試合に介入する樺地。このシーンは樺地跡部を想って(たとえ跡部が望まないことでも)やったことに意味があるんだよな……。

仁王(手塚)も樺地も失って……ここで出てくる跡部の「ワンマンパワー」という言葉が切実だった。それでも「自分がキングであることへの自負」が何度でも彼を奮い立たせる。そこで見せたシンクロでの「すぐにできちゃうなんて俺たち天才じゃん」、このイキリ方が中学生で笑顔になった……😁でもこれ二人ともギリ言わなさそうなのがミュ特有のズレだとも思う。

イリュージョン含めて仁王のテニスって「実現不可能なものを可能にする」意味合いが強い(乾の夢の中だけに現れたメテオドライブの実現、カミュ&デュークダブルスの実現など……)と思うのであり得ないはずのシンクロができてしまうのも納得。

ここで跡部・仁王が勝って「しまう」こと、越知・毛利ペアは100%の実力ではなかったことは、強さを見せながらも負けた側の格を落とさないテニプリらしい演出と再確認した。

ROUND2 石田VSデューク

原作通りあっさり終了。原作ではインパクトある大ゴマで印象を残していったけど、ミュでは本当にあっさり印象薄く終わってしまったので、(流石にデュークホームランを生身の役者でやるのはほぼ確実に不可能とはいえ)舞台表現の限界みたいなものも感じてしまった。

ROUND3 木手・丸井VS遠野・君島

原作でもGenius10編ではこの試合が一番好きなのでどうなるか結構期待していた試合。

急にキミ様ショー始まるかと思ってビビった。アニメでもひと昔前の歌謡曲とかディスコソングっぽい歌が多いけどミュでもそういうイメージなんですね……

この1軍VS2軍は「テニスには体力や技巧だけではなく相手の意図を探ることや安定した精神力も強く求められる」ところを押し出してると思ってるんだけど、その究極系がこの試合だと思った。この試合は2VS2(通常のダブルスとしてスタート。通常のダブルスって何?)→3VS1(木手→ブン太の裏切り)→2VS1VS1(さらに裏切る木手、ワンダーキャッスルの完成、遠野の孤立)という展開で進む。それをライト運びで明快に表現しているのがとても楽しく、ここに関しては期待を超えてきたと感じた。

遠野・君島がダブルスを組んでいながら絶対にデュエットでは歌わないのもちゃんとこの時点での「表向きは一緒のパートナーだが(主に君島が一方的に嫌っているので)全然仲良くはないし信頼関係もあってないようなもの」っていう二人の関係を表してて嬉しかった。(正直これでデュエットしてたら解釈違いだった)

木手と亜久津の暴力性は種類が違うよなとも思う。手段としての暴力と結果としての暴力だと思ってる。

そして遠野がめちゃくちゃいい!下瞼を赤くして地雷メイクっぽくしてるのも原作にはないし今までのテニミュでもほぼ前例のない表現だと思うけど、遠野の漫画的表現を生身の人間でおこすのにぴったりの2.5的表現だと思った。小声で処刑はサクッとーサクッとーって歌ってるのおもろい。こいつならやりかねん。現実に処刑がなんだってデカい声で言いまくってヨロレイヒー!!って叫んでる人がいたらドン引きするけど、なぜか不快感がなかった。でも一人で勝手にハイになっていくのに反比例してベンチで引いていってる中学生・高校生たちは正しい反応だった。この遠野と君島でフランス戦での和解まで見たい。

今回のブン太は原作より「無邪気な子供」っぽいと思った。確かに立海の中にいると勝つためにゲームメイクや技巧にもこだわりを見せるギラついた側面が強調されるけど、そこを離れたブン太が「無邪気な子供」かと言うとあんまりそうでもない気がする……(後輩やジローに対するお兄ちゃんムーブ、同級生に対しての陽キャ中学生ムーブのイメージが強い)。ワンダーキャッスルの歌も割とポップだったし。たしかにそのギリギリの状況でも漂う軽さ、お茶目さもブン太の魅力ではあるけれども!パフォーマンス面でもまだまだ伸びしろがあると思うのでこのブン太が関東立海に出たときどんな感じになるか見たいと思った。

今回テニミュボーイズでもジローがいなかったからここで言及するのもアレなんだけど生身の人間で見ると木手はブン太に対してなかなかにえげつないことやってることを再確認してしまったので、ジローはこれ見て何を思ったんだ……しばらく木手のこと警戒してない……?みたいに思ってしまった。(ジロー推し)

ROUND4 遠山VS鬼

鬼先輩VS金ちゃん戦はこっちまで笑顔になっちゃうよな!天衣無縫はほんとに楽しそうにやるから良い。ミュが持つ演者の身体性がめちゃくちゃ生かされてるのが天衣無縫だと思う。

越知+毛利+君島でなんか肩組んでるしベンチの千石可愛い〜〜木手が仁王に遊ばれたり小さくダンスしたりしてるし師範がブンブン腕上げてるのも好き。そんな中一人だけ幸村が苦い顔してたの、まあ確かに無印のリョーマ戦踏まえて描くならそうできなくもないけど原作では「あのボウヤ いい顔してるね……」と(内心思うところはあるのだが)表向きはつらそうな表情は見せずに言っているところなので、どういう意図があっての改変なのか気になった。

金ちゃんの天衣無縫は負けても苦しくても、何があっても何がなくてもテニスは楽しい!の天衣無縫なのよね、鬼先輩のは守るべき存在がいるからこそ心から楽しもうと思える天衣無縫。

ROUND4と同時進行の出来事、回想

平等院VS鬼(二年前の回想)

兵庫出身の平等院に岡山出身の鬼先輩(そして京都出身の入江、種ヶ島)がいるこの代、西日本テニス界相当盛り上がるんだろうなと思った。

この歌唱力めっちゃ高い人たちが全く違うメロディを歌って一瞬だけ重なり合うの、これを見るため聴くために生きてたんだなってなる。(関東氷帝の一騎打ちもそう)

・越前兄弟&亜久津

リョーガと亜久津のやり取りがダンスバトルっぽくなってたところが良い演出だった。二人の「天才」感が出てる。でもここで出てるリョーガの「たかがテニス」って言葉、最新の展開から自分の能力に後ろめたさを感じてるのでは……?と深読みしてる自分にはしんどかった。

ROUND5 真田・亜久津VS大曲・種ヶ島

なんで巌流島?とずっと思っていたんですが、色々な人の感想を読んでやっと「大曲の二刀流+種ヶ島の『無』で宮本武蔵をイメージしている」ことをようやく理解できました。

今回の真田、どうしても亜久津や幸村と体格を比べてちょっと威厳が足りないのでは……?って思ってしまったけど、「黒色のオーラ」聴いてると別にそんなことないなと思った。真田の本来の性質はこの試合で見せた(亜久津が引き出してくれた)闘争心剥き出しなところにあると思ってるので、その側面を見せるという点でかなりよかった。関東立海リョーマと鍔迫り合いしたらどうなるんだろう。

そして話題の𝒏𝒐𝒕𝒉𝒊𝒏𝒈……。アニメ準拠のキャラソンは明るくアップテンポな曲ばかりなのでこんな音数も少なくて静かな曲が来るとは思わなかった。技巧と役に入る力両方合わせた歌唱力で音の穏やかさ、音数の少なさをねじ伏せてきてる。アップテンポな曲とかロングトーンを強く歌い上げるタイプの曲だとパワーで押し切ることもできるんだけど(だからこそテニミュにはそういう曲が多いのかも)、真逆を行くスタイルだった。これは照明もすごくよくて(暗い中白いライトで照らしてる、今まであまり見なかった演出だと思う)、一瞬時間が止まったのかと錯覚するようだった。

そしてこの途中に挟まれるのが亜久津と千石の回想。この時の千石は亜久津のことをちゃんと見てて、ただの運試しのふりしてテニスへの未練を残している亜久津が無意識のうちに求めているであろう条件を出してると思ってるんだけど、それをきっちり舞台上で表現しきった千石をテニミュボーイズにしておくの勿体ない……4thにも出てくれ……と思いながら見ていた。実際は違う人に決まったけど。

結果だけ見ると中学生がボロ負けしてて、改めて高校生の強さを見せつけられることになるこの試合だけど、大曲先輩の真田や亜久津に対する態度を見るとなんか後腐れなくなるんですよね。

余談ですけどこの試合中ベンチで仁王、ブン太がウサギやったりギャルピースしたりしてるの、マジでいつもの中学生のノリって感じでしたね。

ROUND5と同時進行の回想、出来事

・徳川、鬼先輩、入江の回想(またの名を医務室コント)

泰江奏多は「ありがとー💞」といい「こういうの嫌い?」といいめっちゃあざといことがわかった。演者がこういう感じで遊び心を出せるのはミュージカルならではの旨味ですよね。特に入江はダブルキャストだから両者の違いを楽しむこともできるし。

・越前兄弟

回想を一曲の中に入れ込んだの、こういう演出を見るときっちりミュージカルしてるな!と思う。(4thくんならちび越前兄弟の回想だけ見せてから今の二人が現れてバラードを歌い始める……とかやりそう)

ROUND6 徳川VS平等院

「俺は強くなり過ぎた この確信は揺らがない!」と言うほどに強さだけを磨き続けてきた徳川と、自分の精神の強さをコントロールしてあえて不利な状況に追い込みさらに強くなろうとする平等院ってのが見えてると、やっぱり平等院の方がワンランク上なんだなと思う。

未だに具体的になんなのか説明できる自信がない「阿修羅の神道」を鬼と入江の歌唱力で「なんか すごい つよい」と思わせてしまうあたり、2.5だろうがミュージカルは歌が上手いことが何より大事という当たり前のことを思い出した。

原作ではオタクの間で「スタンド攻撃喰らってる」とも言われてるあのシーンをどうやって表現するんだ……!?と思っていたが、(私の予想は「テニミュボーイズを海賊のイメージとして登場させる」)まさかのG10メンバーが仮面をかぶり海賊になるとは!!原作のドイツ戦での平等院VSボルクの表現を踏まえるとここは激アツだった!!

一方ブラックホールは徳川のプライドと挑戦する覚悟を感じつつも入江や鬼が後押ししていることで平等院陣営との対比も感じた。

そして、平等院の言う「世界は広ぇぞ!!」は新テニそのものを表す言葉でもあると思う。高校生に出会って世界を広げる中学生、海外選手に出会って世界を広げる日本代表……。

エンディング

First Stageの時はモヤってたディスタンスとようやく和解できました。

テニプリの世界では流行り病など存在しないのでテニミュですらそんなこと言っちゃうんですか……ってメソメソしてたんですが、感染状況が比較的落ち着いた状態だったからなのか今回気にせず見れました。前回はあった私服登場コーナーがなかったのはちょっと残念でしたが……

 

レボライで!!また会おう!!!!!