新緑ノスタルジア

生きていくのがVERY楽しい

二次元と三次元が互いにコンテンツを拡張させる。アイドルマスターミリオンライブ!のライブパフォーマンスへの興奮。

「グリマスの物語」としての1st~4thの配信が終わったので覚書として。

 

まず、私はミリシタから本格的にミリオンライブ!を追い始めたPなので、グリマスのことは後追いでストーリーを読んだり少しだけ触ったりした知識しかないことだけ先に書いておきます。そのため当時のミリオン界隈の空気についての言及はできません。

 

前に、初めて2.5作品に触れての感想を書いたんですけど、アイマス、特にミリオンライブ!のライブって○○ミュ、○○ステの類とはまた違う意味で2.5次元だよなあと感じました。

lettucekunchansan.hatenablog.com

これもテニミュをあの時見られたから得られた視点。サンキューテニミュ

これ以上つらつらと前置きを書くつもりはないので、本題に入りましょう。

 

「てづくりのぶどーかん」へ

私は、ミリオンライブ!を知ってまず、二次元の存在であるアイドルマスターのアイドルが三次元の具体的な目標、「武道館」を目指していることに驚いた記憶がある。

武道館を目指し、最初は本当に小さな小屋のようなステージからアイドル活動をスタートする。これはグリマスの話だが、三次元、つまり現実世界で行われた1stライブの会場も、武道館のキャパには程遠い中野サンプラザだった。

このスタート時点で、既に二次元と三次元が繋がっているのだ。そこに、アイマスの他のシリーズとミリオンライブ!の決定的な違いがあるのかなと感じている。だからこそ、「2.5次元」っぽさを感じたともいえるだろう。

そして、声優とキャラの二人三脚で目指す武道館までへの過程が、とても綺麗なのだ。

1stで初めて単独で大舞台に立つ。2ndでは規模を広げ、楽曲数を増やして固定ユニットにも挑戦。3rdでは初めて全国を回る。「会いに来てもらう」から「会いに行く」へ。ここで初めて全員が1度はパフォーマンスをする。そして、満を持して4thでゲーム内でも描かれた「天体公演」として武道館のステージへ。3日間で37人全員が武道館に立ったのだ。*1

これは、ある意味完全な三次元だと絶対にできないことだよなあと思う。二次元を基盤とする2.5次元だからこそ、そこまでの道を物語で「舗装」することができた。三次元のアイドルが武道館を目指す道筋は、決められた物語が存在しない分もっと凸凹で曲がり道や遠回りも多い。*2

武道館を目指すアイドルは数多くいても、そこに本当にたどり着くことができるアイドルは限られている。そこにたどり着くことなく引退や解散を余儀なくされるアイドルも多い。そこに、ずっと武道館を目指してきた彼女たちが皆で立つ意味を4thでは噛み締めた。私のようなPですら色々な感情がこみ上げているのだ、リアタイでグリマス、ミリオンライブ!の流れをずっと追いかけてきたPにとってはひとしおのものだっただろうと思う。4thは、ずっとミリオンライブ!を好きでい続けてきたPへのご褒美、プレゼントのようなものだったのかもしれない。

 

「声優」と「キャラ」の二人三脚だからこそ

私はミリオンだと野々原茜高坂海美の担当で、ミリオンに出演する声優さんだと上田麗奈さんが好きなのだが、今回1st~4thまで連続で観て、担当と推し以外に特に目がいったキャラ、声優さんがたくさんいる。

未来と山崎はるかさんが春香、中村繪里子さんの模倣ではない自分なりの「ミリオンライブ!のセンター」像を掴んでいく過程。「センター」「リーダー」を背負わない3rd大阪公演の未来飛行は、それまでと何かが違うように感じたのだ。それを経たうえでの幕張2日目の未来飛行に、物凄く頼もしさを抱いた。

静香のPrecious Grain。4thは今までとは違って優しく、温かく聞こえた。CD音源や今までのライブでの歌い方と違って、切羽詰まったような感じや周りを圧倒するような空気は、いい意味で存在していなかった。これは、田所あずささんが武道館にたどり着いた静香と向き合った結果、生まれたのだという。

大関英里さん。1stの時はこちらにも緊張しているのが伝わるぐらいにガチガチだった。大丈夫かな?と心配になった。だけど、回を重ねるたびにどんどん表情や動き方に自信があふれてくるのがわかり、現地で見ることができた6thでの堂々とした姿に至るまでにこんなことが……!と気づきを得ることができた。

雨宮天さんと志保は、ここぞという時*3に出番が来て、一気に空気を自分たちのものに作り変えてしまう。パフォーマンスの説得力が半端じゃないのだ。

紗代子と駒形友梨さんのvivid color。元々大好きな歌だったが、ライブで駒形さんが歌うたびに紗代子の目指すアイドル像の輪郭がどんどんはっきりするような気がした。

他にもパフォーマンスやMCでたくさん目を惹かれたシーンがあるが、これ以上書くとそれだけで独立した一つの記事ができそうなので泣く泣く割愛。

つまり何が言いたいかと言うと、声優さんたちのパフォーマンスが、ミリオンライブ!という物語の文脈を拡張していっているのだ。

原作の文脈を回収するだけではなく、テニミュにはテニミュの文脈が存在していた。

テニミュ初見オタクが #おうちでテニミュ で百聞は一見に如かずを実感した」新緑ノスタルジア より引用

前置きで挙げたテニミュの感想文には上記の通り書いたのだが、ミリオンライブ!に関してはそれだけではなく、ゲーム(原作)やゲッサン(コミカライズ)で語られる文脈とライブで声優さんが付与していく文脈が互いの文脈を拡張させ合うイメージがある。

 

オリメン以外の歌唱、765カバーの意味

ミリオンライブ!のライブでは、それぞれ個人やユニットの持ち歌だけではなくオリジナルメンバーとして参加していない曲や765ASの曲を歌うことがある。

たしかに、オリジナルメンバーでの歌唱というのは大きな意味があるものだと思う。特に、固定ユニットとして物語が与えられたLTF曲は。私も、オリジナルメンバーが全員揃ったうえでのShooting Starsが聴ける日を心待ちにしている。*4

しかし、オリジナルメンバー以外が歌うこと、持ち歌ではない歌を歌うことによって、新たな文脈や可能性の発見にも繋がるのではないか。たとえば、4th1日目のEmargence Vibe。莉緒姉は自らのセクシーさをアピールすることの多いアイドルだが、自分の持ち歌ではこの曲のようなダイレクトで攻撃的なセクシーさを表現することはなかった。どちらかと言うと、直接的なところよりかは持ち歌の歌詞に含まれる言葉の端々から生まれる「大人だなあ」というオーラから生まれるセクシーさを感じていた。しかし、この曲の披露があって、「こういうのもアリだな!」と感じた。ライブでの「生」のパフォーマンスが、二次元のキャラクターの解釈の幅を広げたと言える。

また765カバーに関して言えば、765曲は持ち歌として固定されていない曲が多いからこそ、当てはめ方の自由度が高く、そこから解釈の幅も広げやすいだろうと感じている。特に3rd名古屋公演での99 Nightsに美也が参加したことが個人的に衝撃だった。

 

二次元と三次元が共鳴する

まず、↓の星野源さんがアイマスについて語っている記事を読んでほしい。

忙しかったら下に一部分を引用したのでそこだけでも読んでほしい。

miyearnzzlabo.com

あと僕昔から二次元とか妄想とか虚構とか物語とかっていうものがすごく大好きで。で、『アイドルマスター』は特に、「みんなで作っている」っていう感じがするのがすごい好きなところで。お客さんも一緒に作っている。で、中の声優さんもそのキャラクターがもっと広がるように、とか。で、その中の声優さん自体のキャラクターも、キャラクターの中にどんどん入っていったりとか。

あと、ファンの人たちが作った二次創作とかのものがキャラクターにまた反映されていったりとか。それで流行が生まれたりとかっていう、だからみんなで嘘を作っている感じが……で、それが嘘が嘘じゃなくなっていく瞬間っていうのを何度も見れるっていうのが、僕は単純に感動してしまうという。

星野源アイドルマスター』が好きな理由を語る より引用)

 

 上に挙げたこの「みんなで嘘を作っている感じ」「それが嘘が嘘じゃなくなっていく瞬間」を一番感じられるのが、アイマスの中でもミリオンライブ!なんじゃないかな?と思う。二次元(ゲームやコミカライズ)と三次元(声優さんとキャラが二人三脚で臨むライブ)が互いに影響を与え合って、時には与えられたストーリーを生身の人間が簡単に凌駕してしまう。そして、ライブが終わった後に声優さんの成長や変化を感じるだけではなく、自分の中のキャラクターへの印象まで変わっている。

それが本当に面白いと思うし、だからミリオンライブ!はやめられないなあと感じた。

 

結びに変えて

このブログもTwitterも専らボイメンかハロプロの話ばっかりで最近アイマス要素どこ行った?って感じになりつつあるんですけど、こういうのがあるからやっぱりミリオンライブ!が大好きだなあと思います。その物語で感じたことを少しでも表現するためにも、夏ごろにはまたニコニコに動画投稿再開できたらと思って準備している最中です。

そして、今週の土日(6/27,28)には新たに「ミリシタの物語」が始まる5thライブの配信もあります。

live.nicovideo.jp

live.nicovideo.jp

白石紬と南早紀さん、桜守歌織香里有佐さんが加わり、グリマスとはまた違った時間軸での物語が動き出します。まだまだミリオンライブ!の世界、物語、それが拡張されていく瞬間を楽しみたいです。

わかちこPの帰りを待ちながら。

*1:当時種田梨沙さんは病気で休養中のためステージに立ってはいなかったが、あの場にたしかに田中琴葉は「いた」

*2:私はその両方が好きなので、どちらが良い悪いと比較して論じるつもりはない

*3:具体的には、3rd幕張1日目のアイルの直後とか

*4:だからその可能性が高かっただろう7thの中止はとても残念だった