新緑ノスタルジア

生きていくのがVERY楽しい

彼らは何を歌ってきたのか―BOYS AND MEN楽曲の歌詞抽出・分析、祭nine.との比較を添えて

前回の記事↓で「ボイメンらしさ」を語るのに欠かせない(と、勝手に思っている)「ボイメンのガンバリズム」について書いたわけだが、

lettucekunchansan.hatenablog.com

じゃあその「ボイメンらしさ」とやらを形成してるワードって何なのよ?ということで、BOYS AND MENの歌詞テキストをデータベース化し、使用された語句を抽出、出現回数の多い順に並べることで見えてきたもの、感じたことを書いていきます。

個人的に「ボイメンらしさ」といえば「夢」「熱い」「走る」あたりのワードが連想されるんだけど、果たしてどれぐらいあるのか……?

 

※集計に関する注意事項

  • 歌詞は「歌ネット」に掲載されている情報に基づき、BOYS AND MENの楽曲63曲、祭nine.の楽曲32曲分を入力(47都道府県ツアー企画としての「TOKIO」カバーは「NAGOOOOOYA」のみ計上)*1
  • 歌の繰り返し部分もそのまま入力
  • (一期生のみ)ソロ曲やユニット曲も計上しているが、「BOYS AND MEN」名義ではない「第七学園合唱部」や「恋するスイーツレシピ」での楽曲は計上しない
  • 動詞はすべて原型として考える
  • 集計、分析結果のミスはすべて筆者の責任とする

今回歌詞のテキストデータ化にはこちら↓の記事を参考に「Lyrics Master」を、

prehyou2015.hatenablog.com

語句の抽出、分析用に「KH Coder」を使用した。

 頻出語句150

頻出語句150

左の列が頻出1~50位、真ん中が51~100位、右の列が101~150位。

個人の判断で「これはボイメンらしいのでは?」と思った項目は青、「意外だ」「気になる」と思った項目は赤、「何これ??」となる項目を黄色で塗り分けています。
これを予想通りとするか意外とするかは読んでいる皆さん次第だと思いますが、私個人としては「概ね予想通り」でした。以下、それぞれ青、赤、黄色の項目について書いておきます。

名古屋を背負い、ボイメンの看板を背負い、前向きに連れ出していく

一番多いのが「GO」でなのは「GO!!世侍塾 GO!!」や「ガッタンゴットンGO!」の影響かとも思いましたがそれ抜きにしてもまあまあ多い。「行く」「走る」もあるし、そりゃあDon't Think, Go!の略でD.T.G.にもなりますわ……。

そして「BOYS AND MEN 夜露四苦」「かましてこうぜテッペン」「ヤングマン~B.M.C.A.~」中心に「ボイメン」「BOYS AND MEN」(集計システムの都合で1単語ずつ区切られているが)もよく出てくる。みんな自分とこのグループ好き過ぎじゃない?「名前だけでも覚えて帰ってほしい」がっつき具合が何ともこのグループらしいし、「NAGOYA」「なごや」と名古屋愛も忘れない。

そして「笑う」「信じる」「夢」「変わる」とポジティブなワードが並び、「ほら」と聴き手に呼びかける。「愛」は色恋沙汰以外も含むさらに広い枠でも語られた。ボイメンの楽曲が前向きに聴き手を連れ出していくパワーにあふれていることは前回の記事でも違う視点から述べたが、データを通して見てもこういう傾向が出てくるのは面白い。

意外と弱気?「今」と「未来」の多さは?調べてみました!

一番個人的に意外だったのが曲中の一人称で「俺」より「僕」の方が多かったことなんですよね。割と初期から長いこといる。ちなみに一曲の中での使い分けでは「DOGI MAGI」が秀逸で、「君と僕で世界変えてゆこう」と呼びかけるときは「僕」、自分の心の中で念じてる「全俺よ大志を抱け」は「俺」。*2

「涙」「泣く」に関しては、「涙を拭いて闘う」「きみの涙こぼれぬよう未来先回り!」のように涙を止めるポジション、「つらいときは一緒に泣こう」「ついた傷や流す涙忘れはしないよ」「悔し涙もウェルカムカム」「泣き続けてここまで来た」と涙も肯定するポジション、「この涙は見せられない」と強がるポジション……と実に多様な使われ方が見られた。恋愛を題材にした曲だと「泣きながら出ていく」「なんでお前が泣いてんだよ」と物語を彩るパーツとして効果的に使われているのがわかる。

あと気になるのが「今」>「未来」なところ。どちらも日本語の歌詞では多い(よね?)フレーズだが「今」だけでなく「今すぐ」も含めての結果だと考えると納得がいった。「今」を強調するために挿入されている場合が多く、これが疾走感や熱さにつながっているのかもしれない……。「未来」も前後のフレーズは希望がある。

あと「終わる」も引っかかるんだけど「終わりはわからない」「終わらない」「終わらないで」とネガティブ一辺倒にはならない模様。

「恋」はこんなに恋愛ソング歌ってたっけ!?って個人的にびっくりした。「恋」が使われている恋愛ソングだけでも割といろいろなパターンの恋愛が歌われてて面白い。

困惑の2選

「返上」に関しては本当に何かわからなくて何かと思ったら「こうつうあんぜんのうた」の中だけで29回も出てきた。マジかよ。

「サワディ」もまさか1曲の中で17回も出てるとは思わなんだ……。

動詞30選

多分動詞に一番特徴が出ていると思うので動詞頻出上位30語も貼っておきます。こっちも概ね予想通り。

動詞頻出30

共起ネットワーク図

共起ネットワーク図

これが抽出したデータをもとに作った共起ネットワーク図です。この図からは

  1. どの単語が近い関係にあるのか(単語同士の距離)
  2. 単語どうしの繋がり(単語を結ぶ線、太くて濃いほど強い繋がり)
  3. 単語の登場頻度(円が大きいほど頻出)

を読み取ることができます。比較的強く結びつきグループ化した単語が同じ色。名詞などを絞ってもっと簡略化したものになるとこうなる。

共起ネットワーク図_簡易版

「今」「夢」「笑う」「男」あたりが大きく出ているのはさっき見た通りです。

気の利いたコメントでも書きたかったんですが全然思い浮かばないので、個人的には「愛」が「知る」「信じる」に繋がっているのと「明日」が「進む」「待つ」に繋がっているのが好き、とだけ書いておきます。この図が何を意味しているのか色々考えてみてください。

【番外編】比べてみると……?

さてここまでボイメンの歌詞について論じてきたが比較対象がないと行き詰まりを感じるので、ここで後輩の祭nine.の歌詞とも比較してみる。

先ほどと同様に頻出語句150、頻出動詞30と共起ネットワーク図から考える。

祭_頻出語句150

(「ダッチョ☆OSHIRASU」だけで47回も「ダッチョ」が登場していることとオノマトペ、横文字が多いことにビビっている)

祭だと「名古屋」が減って「祭」が頻出ベスト3まで上がってきているうえに「アソレ」「ズンタカラッタ」「ハイ」など祭りをイメージした掛け声のオノマトペも多く、必然的にグループのコンセプトの違いを感じさせられる。

そして祭だと「未来」>「今」なのでここも意外。未来に希望を持ちたい気持ちがより強い世代の表れなのかもしれない……。

ただその一方で「夢」「男」など共通して頻出の単語もありフォーチュンの系譜を感じた。

祭_頻出動詞30

「脱ぐ」って何……?って思ったら「HADAKAN BOYS」か。「行く」ではなく「行ける」ところなんかも特徴になりそうだし、「結ぶ」「踊る」「咲く」あたりも祭独特。

祭_共起ネットワーク図

共起ネットワーク図はこんな感じです。

特徴としては「夢」の次に「行ける」「未来」が大きく、「今」が結構小さい。

「夢」と強い繋がりのある語句も「輝く」「捨てる」「後悔」「挑む」と違いが見えてくる。また「未来」に繋がる語句は一期生が「変わる」に対して「手」「伸ばす」「空」なので一から路線を作り上げた一期生、一期生が作った路線を受け継ぎ次世代として新しいものを作ろうとする祭の「未来」に対する価値観の違いが見えて面白いと思った。

総括

今までに述べてきたことをまとめると

  • 「ボイメンらしさ」を形成するワードは「GO」「行く」「笑う」「夢」「今」などポジティブなものが多い。グループ名や「名古屋」が頻出するがっつき感もグループらしさの形成に一役買っている
  • 「涙」「泣く」など一見ネガティブに思える単語もポジティブに作用している
  • 祭nine.と比較すると「夢」「男」など共通して頻出する語があり、「フォーチュンの系譜」が何か理解する糸口になる
  • 逆に「咲く」「踊る」「結ぶ」など祭にしか登場しない動詞があったり全体的に造語、オノマトペ、横文字が多かったり祭nine.オリジナルの個性も出てきている
  • BOYS AND MEN(一期生)は現在志向強め、祭nine.は未来志向強め

と考えられる。この分析結果が何を意味するのかは、より多角的に深く検討していく*3ことでさらに考察できると思う。今後も考察を続けていきたい。

*1:そのためインディーズ時代の一部の曲は計上されていない

*2:「君」「お前」「あなた」あたりの二人称に関してはバカなことにデータ抽出対象に入れ忘れました……申し訳ない……。

*3:他の事務所のグループと比較、年代別に比較など