新緑ノスタルジア

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舞台「ボイメンステージ 諦めが悪い男たち~NEVER SAY NEVER~」BLUE公演に、Show Must Go Onの心を見た

※以下、ネタバレ要素を大いに含むので注意

 

2020年3/20~29まで池袋サンシャイン劇場にて上演される予定だった、「ボイメンステージ 諦めが悪い男たち~NEVER SAY NEVER~」

フォーチュンエンターテイメント所属の男性タレントたちがRED、BLUEの2チームに分かれ、主要キャラクターはWキャストで演じられた。

27日の夜公演をもっての中止が発表されたが、本日28日にLINE LIVEにて無観客で配信。

BLUE公演だけはチケットを確保していたものの、昨今の世間の事情を鑑みて泣く泣く観劇を諦めてしまったため、本来は見られるはずのなかった公演を見ることができた。

このような中止という事態になってしまうことは、メンバーやスタッフの皆さんが一番悔しいし、やるせないはずだ。一介のオタクですらこんなにも悔しい、空しい。

それでも、そんな顔ひとつせず私たちに楽しいストーリーを届けてくださったことに、今は本当に感謝しかない。

 

それと、この観劇によって、今回の舞台から「ボイメンステージ」がシリーズとして続くことがあれば、それこそ「アイドル・スター的な演者だけを集めた演劇」として、ボイメンが結成当初から掲げている「男性版・宝塚歌劇」が実現可能ではないのだろうか、と明るいビジョンを抱けた。これはそういう作品だった。

 

……前置きで500文字近く使ってしまった。

早速、大まかな全体の感想→細々とした「ここすき」ポイント→キャスト一人ひとりにフォーカスを当てつつ書きたいことを書く という流れでここに感想を記しておこうと思う。

 

全体を通しての感想

前評判から「今までのフォーチュン舞台にないレベルで全体的に凝っていて、ストーリーもいい話で面白い」と小耳に挟んでいたのでついつい期待してしまっていたが*1、いざふたを開けてみればその期待を超えていくほどの佳作だったように思える。

語弊を恐れずに書くならば、観客の予想を大きく裏切るような真新しい展開や設定が存在したわけではない。

しかし、「一期生筆頭にフォーチュン所属のタレントが今までに積み上げてきたスキルと諦めないマインド」があったからこそ、その定石は説得力を増した形でこちらに投げかけられてきた。

 

まず、開演前から、階段をたくさん使って高低差をうまく生み出していた舞台装置に高揚感が止まらない。それだけで、何が始まるんだろう?とわくわくさせてくれる。

いざ開演。背の高いメンバーが多いので、全員のキャストが並ぶだけでも壮観だった。明るい音楽に合わせて登場人物紹介が行われる。開演前にわざわざ動画まで用意してくれたのに、結局フリコピは全然覚えられなかった。無念。

でも、メンバーたち、しかも推しが笑顔で歌って踊っているだけで、その空間は最高のものになってしまうのだ。

今回の舞台の形式がミュージカルで良かったと思えるポイントは、「書き下ろしの素敵な音楽を推しの歌声で何曲も堪能できる」、そしてシンプルに「推しのソロパートが多い」点である。

特に気に入った曲がある。メイン女優・星野サユリ失踪というトラブルに見舞われながらも、なんとかミュージカル「ドン・キホーテ」を開演させようとする序盤の「幕を開けよう」だ。何が何でも諦めたくない、文字通りこの舞台に人生がかかっている一真。そんな一真を心から慕う裕次郎と大樹。どんな手を使ってでも客の笑顔が見たい小野寺。この四人で歌う歌がすごく好きだな、と感じた。

歌われていることは、演者としての、演出家としてのプライド。決して物珍しいものではない、ありきたりな題材なのかもしれない。しかし、たくさんの舞台やコンサートが休演、中止を余儀なくされているこのような状況だからこそ、より一層心に響く一曲だった。

また、普段BOYS AND MENとして歌う時にはあまりメインボーカルに回ることのないタムちゃんの歌が多かったから、二年追っていてもまだ気づけなかったタムちゃんの面白さを発見することができた。このあたりはまた詳しくキャスト個人のところでも書こう。

 

中盤までの物語の途中で何度か、演出家の小野寺と舞台監督の迫田が考え方の相違からぶつかるポイントがある。しかし、何が何でも「客の喜ぶ顔が見たい」小野寺、何が何でも「完璧な舞台を作り上げたい」迫田で、そこに「正しい」「間違っている」はないのだ。

最終的には迫田も全面的に協力する形で最後まで舞台をやり遂げることとなるが、その中でも「どんな極限の状況でも素晴らしい舞台を作る」という迫田の基本的なスタンスは崩れていないのがよかったと思う。

 

劇中劇「ドン・キホーテ」についても触れておこう。

劇中でもあったように、一真が演じるこの物語の主人公、キホーテは、騎士道物語の読み過ぎで自分を騎士と思い込み、旅に出る。そして風車を巨人と思い込み戦うなど、傍から見れば荒唐無稽な冒険を続けるのだ。そして、この劇中劇の中では、タクトが演じる「鏡の騎士」により自らが何の取り柄もない老人だと知ってしまい……?という展開が待っているはずだった。

この話を通して、直接的なセリフなどの描写を多く入れずとも、一真の後がないうえに、家族や周辺の人々にすら呆れられている現状、それでも自分を信じて前を向こうとする一真自身をしっかり描いてしまったそのセンスには、脱帽する。

 

この物語は、終盤の「轟の舞台乱入」「タクトの憧れの発露」でどんでん返しを迎える。この二つのトリガーによって、舞台は舞台という形を変えないままに、「キホーテの物語」から「赤羽一真の物語」に転換した。*2

ここで「諦めなければ、何歳でも夢を見ることができる」という根幹の話に繋がる。

そしてその流れ、ドライブ感を保ったまま「見果てぬ夢のまた夢~」と舞台の裏方役も含めた全員の歌唱で大団円。この綺麗な流れに、後半30分はもう感動しっぱなしであった。

 

また、先に演者の演技についてざっくり触れておくと、一期生以外が演技しているところを見るのは初めてだった。しかし、10年選手の一期生たちと比べてもキャリアの違いを感じさせないどころか*3追い越そうとする野心すら感じるメンバーもいて、この事務所、グループの未来は明るいと思えた。

あと、グローリーズとキラジェネ以外は半分モブみたいな役だったらどうしようと考えてしまっていたが、それは杞憂に終わった。どのキャラクターにもきちんとした役目と見せ場があり、出番がそれほど多くなくてもソロ曲があって印象に残るポイントを残していったキャラもいた。これはかなり良かったと思う。誰が推しでも楽しめる。

 

全体を眺めたうえでのざっくりした感想はここまで。

ここが好きだと言わせてほしい

長文で書くほどのことでもないので、箇条書きでさらっと流す。

・作中に名前だけが出てくるプロデューサーの名前が「谷口さん」なのじわじわくる

一真さんの青メッシュが好きすぎる

・大樹はロバ耳がよく似合う

・舞台にトラブルが起きないか袖から見守っている裏方組がなまじみんな高身長なもんだから、しゃがみこんでいると余計に小さく見えてかわいらしい

・「僕は遠くへ行きたい」「探さないでください」と言っておきながら結局楽屋のシャワールームに閉じこもっちゃうショウヤ君が庇護欲をそそる

・レオ君の奔放な野生児感

・千鶴ちゃんはシルエットだけ見れば完全に女の子

赤羽一真/小林豊について

最初に断っておくが、私の推しなので少し……いやかなり贔屓目で見ているところがあると思う。許してほしい。

開演して一番初めの歌で、「俺は強いから~~」というパートがあったが、序盤でそれがすぐリーダーという立場、後輩に人気で追い越されて後がない現状から来る強がりなんだとわかるほどに、彼は徹底して「偶像」「スター」と言うよりかは「生身の人間」であったと思う。特に、落胆する気持ちはこちらまで落ち込んでしまうほどに伝わってきた。

演技を見るたびにいつも思っていることがある。小林さんの演技はセリフよりも何よりも、その視線に魅力があるということだ。(無論、セリフへの感情の乗せ方などもとても良い)映像だとどうしても引きのアングルでしか映せない部分もあるが、それでも引き込まれた。騎士、ドン・キホーテとして戦いに挑むときの険しい目つき。弟の進太郎に諭されるときや激昂する迫田に胸ぐらを掴まれるときの、自分の夢、面子・周囲の期待に応えられない現実で揺らぎ、迷う目線。

そして、根本としてはがむしゃらに夢を追う純粋な心の持ち主である一真

そんな彼が希望を信じるとき、その目には爛々とした光が宿っているのだ。まるでCCさくらのさくらちゃんの、「絶対大丈夫だよ!」という言葉のように、どんな状況でもどうにかなる!と思えてしまう。

ありがたいことに配信にはアーカイブが残っているので、もう一度見る際にはぜひ視線に注目していただきたい。

そして歌がいい。出演者全体を見渡せば総合的な歌唱力ではもっと勝っているメンバーもいるのは事実なのだが、主役な分多かった歌いだしでも安定していたし、パワーが入るところでは(意図してなのかはわからないが)時々がなったりするところがすごく良かった。

蒼井裕次郎/吉原雅斗について

まず前情報だけ見た印象だと、割と本人のキャラクターに近いな~というところ。

で、実際その通りだった。頭の回転が早くて、クールになんでもそつなくこなせるように見えて、芯は強く熱い心の持ち主。

特に、公演がうまくいかなかったらアイドルをやめるという一真の隠し事に気づき、俺たちは仲間じゃなかったのかと憤慨するシーン。ここは、セリフでは叫んでいるが、「なんで信じてくれないんだ」という怒りだけではなく、「自分もメンバーとして一緒に背負わせてほしい」という慈悲深ささえ感じる場面だった。

この物語の基軸はタイトルにもあるよう「諦めの悪さ」だが、それと同時に「仲間とともに、一人では実現できない夢を叶える」ことでもあると思う。

そこに向かっていくための物語を描く、重要なピースの1つであるキャラだったと考えている。

歌について書いておくと、常々思っているが低音が本当に綺麗なので、ソロだけでなく下ハモで生きているところが聞けたのが本当に嬉しかった。

桃園大樹/平松賢人について

よしぴ裕次郎と同じく、こちらも本人のキャラクターに近そうというのが第一印象で、実際そのイメージにかなり近かった。今まであまりけんちゃんのお芝居は見たことがなかったのだが、この心優しいムードメーカー的なポジションは彼本人の持ち味だからかすんなり入ってきた。嬉しい時にはみんなで分かち合う姿勢なんかも。あと、メインで喋ってるときじゃない芝居もうまくて、ちゃんと大樹がこの世界の中で生きていると感じることができた。

さらに、グローリーズとキラジェネの間の空気がギスギスした時の潤滑剤的なポジションを担うことで、「ただの元気なキャラではない」ことも見えてくるような構造になっている。ここは彼の演技次第で説得力が変わる繊細なシーンだったように思えるが、こういったところも演じられるけんちゃんの「キャラクターを汲み取る能力」にはとても驚かされた。

歌に関しては、もう流石としか言いようがない。いつものコンサートなどでも思っているが、ミュージカルとなればいつもと歌い方が異なる(大きく動きながら歌う、セリフっぽく歌う場面もある)のに安定した声量とビブラートで、もっと外部ミュージカルでも見てみたい!と思える圧巻のパフォーマンスだった。

タクト/野々田奏について

奏くんに関しては、とにかく犬系の元気なキャラクターのイメージ(本人がキャッチフレーズにしている「全力少年」のイメージ)が強かったので、この配役はどうなるんだろう?と希望的観測の中に若干の不安もあった。が、そんな心配は無用だった。

タクトは、かつての輝きを失ったように見えるグローリーズへの失望に苛立ち、そのメンバーだけでなく同じグループの仲間たちにもつんけんとしたシニカルな態度を取る冷たい人物のように思えた。実際、舞台本番中に大樹の入れ替えを邪魔するシーンは、見ているこちらもゾッとするものだった。しかし物語が進むにつれて、グローリーズへの純粋な憧れや、本来のまっすぐな性格、失踪したショウヤを心配するような優しさが見えてくる。そここそ、彼の本性なのだろう。現に、憧れや期待を抱いていなければ失望することもないはずだ。

タクトは、セリフ以外の要素で演技するポイントがとても多かったように見える。特に進太郎にグローリーズのことを尋ねられたときや、終盤に「鏡の騎士」として一真演じるキホーテと対峙する場面。その時に今まで自分に作っていたバリアを破るタイミングの絶妙さ。そして、それが私のようなド素人にも感覚としてビシバシ伝わってくる。これこそが、俳優・野々田奏の実力だと感じることができた。

ショウヤ/神田陸人について

陸人くんは、普段いわゆる「フォーチュンのピンクの系譜」で頭の回転が早いしっかり者のイメージだが、どこかのタイミングでポロっとポンコツな部分や弱気になる部分が出てきてそれが時々オタクの庇護欲をそそる……というようなイメージを抱いていた。

しかしこのショウヤというキャラクターは、それをそっくりそのままひっくり返したようなキャラクターだ。気弱で臆病なキャラクターだが、恐怖心が爆発して公演そっちのけで楽屋を飛び出してしまう感情の爆発や、一度公演を投げ出してしまった以上舞台に立つ資格は自分にない、とまで言い切るような責任感の強さもある。

その中でも特に際立って印象に残っているのは、もう一度ステージに立つと覚悟を決めたシーン。恐怖心の中で揺れ動く繊細な気持ちと、内に秘めた芯の強さとを同時に演じきった。そう感じさせる芝居だったと思う。

レオ/佐藤匠について

間違いなく今回のミュージカルの白眉だろう。うまく説明ができないが、身振り手振りの感じや表情の作り方がミュージカルにとても向いているように見えるのだ。そんな「こなれた」感と、朝ドラの主演役者のような「まっさらで何物にも染まっていない」ピュア感とを同時に醸し出すとんでもない逸材を見つけてしまったことに、私は興奮が抑えきれないでいる。はやく世間に見つかって、外部舞台にもたくさん立ってほしいと思った。

レオのキャラクターは、たくみん本人とは近くもないがそう遠いわけでもない絶妙な距離感にあった。そのため、「脚本の中で完成しその世界で生きているレオ」をゴールに設定し、それに近づけるように稽古を重ねてきた……という印象を抱いた。

トラブルだらけの舞台という環境の中で、ひとり我関せずとばかりにマイペースさを貫くレオ。彼が笑いを取るムードメーカーというよりは、逆にショウヤ失踪~発見までの空気をより味わい深くして物語の世界に引き込むポジションとして働いたのが、とても良い立ち回りだったと思う。

赤羽進太郎/本田剛文について

兄に堅気の仕事についてほしい、親をもうこれ以上心配させないでほしいという思いと、幼いころから兄の背中に憧れ、尊敬する気持ちとの葛藤。彼もまた「諦めが悪い男たち」の一員だと言える。本田くんはもともとトークがうまく喋り方にきちんとしたメリハリがあるが、それを抜きにしても一つ一つのセリフへの気持ちの乗せ方が本当にうまい。理路整然と諭すようで、内心は焦っている気持ちや、「グローリーズはもうオワコン」という周囲の噂をいまひとつ信じがたいという複雑な感情。言葉で複雑に混ざり合う気持ちを表現する能力は、今回のキャストの中でも頭一つ抜きんでているのではないだろうか。

また、今回普段BOYS AND MENとして歌う曲よりも難易度が高いように感じたソロ曲があったが、本田くんは本当にいつもピッチが正確だなあと思った。微妙なピッチの高低も外さない歌い方というのはそれだけで安心して聴けるものだ。

緑川竜哉/水野勝について

出番こそ少なかったものの、「俳優に専念しグループを脱退」というところで、つい俊さんに重ねて見てしまうところがあった。こういう風にお互いフィールドが変わっても高めあい認め合えることができたら最高だよなあ、と。

序盤にグローリーズに向けられた「お前らが羨ましいよ」には、字面通りではない意図も含んでいるように思えた。言外の意図も見ている側に伝えられるのは流石10年選手だなあと思う。しかし、最後の最後のすがすがしそうな様子には、そんな素振りなど一切見えなかった。決して派手なシーンではなかったが、あの舞台によって心が動かされた人がここにもいるということを、刻み込まれた。

千鶴/三隅一輝について

一生懸命で純真そうな第一印象と、それをまんまと覆してくる大根役者っぷりのギャップ。「わざと下手くそにやる」ってどんな分野でも難しいので、これをやりきったみかちゃんには称賛を送りたい。

あと女役ってどうしても見る側の意識が演技云々より「女性として不自然に見えないかな?」に持って行かれがちなので(みかちゃんは先述の通りシルエットは女性そのもので不自然なところは全然なかったのは大前提)、次は男役が見たいなあという願望。そういう意味でもRED公演が楽しみ。

西園寺丈/松岡拳紀介について

けんぱくんはライブのMCやラジオでも時折不思議な発言でみんなを笑わせるムードメーカーだが、それとは少しベクトルの違う役どころだった。イメージとしてはコロコロコミックギャグマンガに出てきそうな金持ちで世間知らずのボンボン。

タムちゃんとほぼニコイチでの出番だったのが少々勿体ない気がしたが、ソロ歌唱も面白さを残したまま歌い切ったし、終演後の挨拶でもやり切った感が人一倍出ていてよかったと思う。

小野寺元/田村侑久について

ここまでタムちゃんを有効活用した芝居が未だかつてあっただろうか?調子のいい喋りや、何度も入るアドリブ。もはや小野寺:タムちゃんで1:1ぐらいの塩梅。こういうのは本当にさじ加減が難しいと思うが、それでもきちんと決めるべきシーン(小野寺と迫田の価値観のぶつかり合い)ではきちんと役と素の線引きをしていて、「自称アホ」だけどただの間抜けな人じゃないんだよなあと改めて感じた。

歌も、タムちゃんらしい気持ちの乗せ方を小野寺の気持ちになってやっている感じで、タムちゃんのいいところを引き出した歌い方でよかった。

迫田将平/土田拓海について

ここまで当て書きっぽい役柄が続く中チャレンジングな配役だなあと感じたのが土田くん。彼の普段のキャラへの当て書きだともっと物腰柔らかな感じになるんだろうが、それを一切排して、気難しくてプライドが人一倍高いキャラクターにしたのには、ある種脚本家さんの本質を見抜くパワーのような何かを感じずにはいられない。

特に、無茶な演出に対する我慢の限界が来て一真の胸ぐらを掴んで投げ飛ばすシーンは、画面越しに見ているこちらも背筋が凍り付きそうだった。

こういう風に、いい意味で土田くんの枷を外してくれそうな配役が今後もっと増えないだろうかととみに思う。

名護幹夫/米谷恭輔について

グローリーズ、キラジェネ双方のマネージャーということで、グローリーズの面々にもため口で話していたが、役者同士の上下関係を一切感じさせないフランクな喋りに驚いた。序盤からすでに「毎日胃を痛めてそう」オーラがすごいので誰か名護マネージャーに胃薬を買ってきてあげてほしい。そう思うほどに雰囲気の作り方がうまかった。

新山純/中原聡太について

先述の桃園けんちゃん同様に、メインで喋っていないときの演技もばっちり輝いているタイプだった。一真や小野寺の無茶な提案にもわあわあ喜んじゃうところとかが可愛い。ここも素の役者のキャラと演じるキャラクターがうまく噛み合ってる。

轟夢之介/横山統威について

彼は終盤のキーパーソン。一真たちの夢を粉々に打ち砕こうとするポジションだが、それがかえって、タクトの憧れの発露と、本当の意味での全員の協力に繋がることになるからである。こういう大事なシーンを託されるのは間違いなくプレッシャーだと思う。それなのに、舞台から伝わってくる迫力は、これまでの物語の世界の時間を積み重ねてきたほかのキャラに匹敵するものだった。ひょっとすると、あの時私たちは、才能が開花する瞬間を目撃していたのかもしれない。ものすごくおいしい役どころだった。

まとめ

前書きにも書いた通り、本当にこのような状況で舞台を届けてくださったことに感謝しかない。またいつか、どこかで「更に諦めが悪い男たち」に出会うことのできるよう、再演の機会があることを祈っている。

DVD化は本当に嬉しいので、RED公演と見比べるのが今から楽しみ。ダブルキャストは両方見比べるのが醍醐味だと思っているので……

そして、また来年以降もフォーチュンのタレントたちでこういうお芝居、今度はストーリーの方向性もガラリと変えてできたら面白そうだなあと思う。

あと自分の祭nine.とBMKに対する解像度の低さが浮き彫りになったので、円盤で見るまでに少しずつでも上げていけたらと思えた。

あれこれ長々と書いたが一番言いたいのは「楽しかった」ただ一つだけ。フォーチュンのグループが一つでも好きな人だけでなく、一切知らなかった、興味がなかったという人にも刺さるような内容だろう。4/12までは有料にはなるがLINE LIVEから配信アーカイブを購入することができるので、機会があれば是非ご覧になっていただきたい。

ボイステ 諦めが悪い男たち~NEVER SAY NEVER~ - LINE LIVE(ラインライブ)| 国内最大級のライブ配信サービス

*1:私がオタクをするときの基本スタンスは「信用はしても期待はしない」である

*2:先述したように、それまでも表向き「キホーテの物語」で、内情は「赤羽一真の物語」ではあるが

*3:舞台上では明確に先輩後輩の違いがある役どころはグローリーズ⇔キラジェネ、迫田⇔新山のみである